感じる歩き方
感じる習慣を身につけるには日常生活の中で、行動しながら感じる方法をトレーニングしてゆきます。
最初は散歩やトレッキングなどで屋外を歩く方法です。
頭の中で「1,2,3,1,2,3・・・」と歩数を数えながら3拍子(奇数拍子)で歩きます。
同時に一歩一歩足裏の感覚や下半身の動きにも意識を向け続けます。
交通や路面の危険には注意しなければなりませんが、それでも数と足には意識を向け続けます。
感覚はいくつでも同時に意識を向けることができるので、どんどん感覚を重ねてゆけば、無駄な思考が入り込む余地はなくなります。
3拍子を忘れてしまったり、時間や距離が気になったり、歩行以外のことが思い浮かんだら、思考が走り回っていますから、思考は気遣いせずに自分は3拍子と一歩一歩の感覚に戻ります。
感じる見方
次はものを見るときの感じ方ですが、目的がないときは目の焦点を結ばずに、視界全体をぼんやりと眺めます。
その時感じる力が一番働いていて、視界の中央だけでなく視界の隅のわずかな動きまですべてを感じています。
何かに焦点を結んでそれを理解しようとしたとたんに思考が働いて何も見えなくなります。
列車の長旅で車窓の景色を焦点を結ばずに見ていると、自分は止まったまま景色が動いてゆきます。
そのようにして景色を見ていると、長旅でも心が疲れません。
それは思考がないので時間を追う苦しみがないからです。
病院の待合室などで、写真や文字が混在している雑誌を上下逆さまにして見ます。
一部にフォーカスして「これは何だろう?」と思わないで全体をぼんやり見てください。
しばらく見ていると、ある部分の色彩やコントラストがとても美しく感じられるようになるはずです。
その時感じる力が強く働いています。
試しに雑誌の上下を元に戻してみると、とたんに言語化が始まって見えるものが何であるか説明できるようになります。
その時働いたものが思考で、最初に感じた色彩やコントラストの美しさはもうわからなくなっているはずです。
毎朝届く新聞の折り込みチラシを逆さまに見ることを日課にしてもよいと思います。
感じる食べ方
私たちは食事をするとき、人と話をしたり、何かを考えたり、テレビを見ながら食事をすることがほとんどだと思います。
そのような時は思考が走り回っているので、本当に食事を味わうことがありません。
食べるときや飲むとき、ゆっくりと動作しながら、食べ物の色、匂い、唇の感触、舌触り、歯触り、味、香り、食べる音、のどの感触、食道の感触、胃のもたれなどに全意識を集中しながら一口一口静かに食べてみてください。
話すことをやめ、食器や箸などの音は立てないようにして静寂を保ちます。
その時今まで食べていたものとは全く違う美味しさを感じるはずです。
茶の湯はそのように一椀のお茶を飲むための作法です。
家事で高める感じ方
草取りでも掃除でも炊事洗濯でも、家事をしながら全身で感じます。
洗濯や掃除が目的ではありませんから、効率を排除して、ほうきや雑巾や洗濯板を使って原始的にやるほうが有効です。
そうやって目で見、音を聞き、身体の感触を全身で感じ続けます。
ほうきなどの道具は、ほうきの穂先を自分の感覚として感ずることです。
草取りは手の感触を感じながら手で抜きます。
速度は問題ではないので、土の感触、草を抜く感触を感じてください。
菜園や花壇などの作業、農作業なども同じです。
こうして見ると、やらなければならないことがすべて半世紀以上前の日本の生活と同じであることに気がつくと思います。
私たちは便利さや効率を求めて、それが幸せだと信じて高度経済成長を遂げてきたわけですが、その結果元の生活に押し戻されようとしているようです。
スポーツや踊りで高める感じ方
スポーツはどんなものでも心によいので、身体を動かせるようになったらやるべきです。
有酸素運動は感覚を高めるのみならず、生命力も高めますので一石二鳥です。
散歩、スロージョギング、ジョギング、スポーツと移行しますが、特に水泳は全身の感覚と呼吸を使うのでとてもよいと思います。
スポーツは全身の感覚、「いまここ」の現在進行形に傾注することが大切で、人と競う必要はありません。
道具を使うスポーツは道具(ラケット、ボールetc.)と自分が一体になって、道具を自分の感覚として感じることです。
身体を動かす踊りはリズミカルなものも静かなものも祭りの踊りでもよいので、身体の感覚を全身で感じるようにします。
人目を気にせず、下手でもよいので、自分の気持ちに従って踊ること。
エアロビクスはスポーツの要素と踊りの要素が複合していて、心も身体も健康になります。
地域の催しでエアロビクス教室もありますし、DVDを見ながら自宅で一人でもできます。
スポーツではありませんがカラオケで歌を歌うことなど、他にもあらゆる行動を通して感じる生活を組み立ててゆくことができます。
3月3